更新日時: 2024.6. 1
記事作成 VILLA IMG代表 佐藤 健
コロナ過も上がり続けた沖縄の不動産価格。いつまでこの不動産価格上場が続くのか?また、いずれはバブルのように下落する可能性があるのか?不動産業界に気が付けば35年。沖縄に移住して不動産業に携わって17年目。海外で人気のリゾート地ベトナムダナンでリゾート物件の取扱いをしているVILLAグループ、私なりに考えてみました。但し、経験があるからと言って、私以上に不動産マーケットに詳しい方や取引実績のある方も沖縄・アジアには多くいらっしゃるのでこの記事を沖縄不動産購入を考えていらっしゃる方の参考にしていただけたら幸いです。
この「買い」の理由をいくつか説明させていただきたいと思います。
沖縄県内の不動産業者間でも話題になる「不動産価格の上昇はいつまで続くのか?」。国土交通省が2023年9月に発表した沖縄県内の地価(全用途)は4.9%の上昇で、全国トップ。全国平均(1.0%)に比べると、実に5倍もの急上昇率。しかも、10年連続の上昇を続けている現状。高止まりか、まだまだ不動産価格は上昇するのか?買いか?下落まで買い控えたほうがいいのか?沖縄の不動産を購入を検討されている多くのお客様から同じ質問をいただきます。
不動産市場は特にインフレ、金利の上昇、物価上昇へ備えとしての「モノ」=「不動産」の保有を進める住宅購入や収益不動産を国内外に所有される方が増えてきています。
個人ができる物価上昇への備えとして、外貨建て資産を保有することや、株式や不動産等の「モノ」を保有することが挙げられますが特に不動産の購入価格は大きいため、経済の動きを注視しつつ、様々なリスクを考え、その備えをしなければならない時期です。
過去にインフレが定着し借入金利が上昇することになった際には相対的に不動産価格は下落し物件の利回りが上昇した時期もありました。金利上昇がインフレを適度に抑えることで、2022年以降高止まりと言われている不動産価格は今後も不動産や株が上がり続ける可能性があります。
ここで、今回は、沖縄の不動産の購入を考えている方を「県外在住日本人」「県外在住外国人」「県内在住日本人」「国外在住外国人」として、私が沖縄の不動産業界にいて常にインターネット、各統計データと街中の肌感でチェックをしている「経済、観光、インバウンド、外国人、人材、金融」など参考になる部分のみランダムにリストアップしてみました。※参考データ資料はページ下に
・持ち家率44%、全国ワースト「沖縄県」
・日本全体の人口は2020年には約1億2,615万人。2030年には1億2,012万人、2035年には1億1,664万人に、2050年には1億469万人に減少する
・特殊出生率の2022年全国平均は1.26で過去最低を更新。一方で、沖縄県は1.70と全国トップ
・東京都・大阪府に次いで転入者が多いのが沖縄県
・沖縄県の賃料平均は4万5,560円で全国平均を下回っているが、九州・沖縄地方だけで見れば、福岡県(4万8,429円)に次いで沖縄県の賃料は高い。
・持ち家住宅率が低く賃貸住宅へのニーズが強いエリアでは、賃料を高く設定しやすく利回りが高くなる傾向。
・2022年の新築マンション価格(70平米換算)の全国平均は4,212万円。沖縄県の平均は4,358万円で、47都道府県中14位。東京都(8,561万円)のほぼ半分の水準。
・2023年の入域観光客数は、前年比45%増の823万5,100人。新型コロナウイルス禍による行動制限がなくなり、2年続けて大幅増。国内客は724万人でコロナ禍前の19年を0.2%(約1万5千人)上回り過去最多
・2023年度観光客数850万人と同数だった2016年度(877万人)を比べてみると、宿泊施設の軒数が201.9%、客室数及び収容人数に関しては、約1.5倍。宿泊施設の数は増加し続けている
・県内で働く外国人労働者の数は1万4,000人余りとこれまでで最も多い2009年から2017年にかけて、外国人労働者数は右肩上がりで増加。その伸び率は、2009年と比べると3.8倍。沖縄全体の労働者で計算したときに、95人に1人が外国人労働者
・本島北部に新テーマパーク「JUNGLIA」2025開業、本島南部に2024年8月「コストコ」開業
・「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」に基づき、県内本島、離島区域にも「注視区域」・「特別注視区域」として指定
・県内の宿泊施設清掃員、リネンの大幅不足 小規模新規ホテル、民泊施設には供給できず
・2018年からの総住宅数の増加率を都道府県別にみると、沖縄県が7.2%と最も高く、次いで東京都が6.9%、神奈川県及び滋賀県が5.9%。
・九州・沖縄8県の2023年の基準地価(7月1日時点)は、沖縄県が全用途で4.9%上昇し伸び率で全国首位
・STORYLINE 瀬長島販売 52.38㎡から55.24㎡ 6,420万~6,740万円
・沖縄海邦銀行「軍用地主ローン」り、借入金額1億円以内、期間25年以内で、資金使途自由
・県外地銀の沖縄での支店開設戦後初「鹿児島銀行」。住宅ローン、アパートローンに続き、法人向け貸し出しも順調に増加2018年度末は434億円だった貸出残高も、2021年度末には1540億円まで拡大
・那覇市の住宅地は+1.1%→+3.3%と上昇幅が拡⼤。宮古島市は、+10.9%→+17.7%と上昇が続き、上昇幅は広がり、県内住宅地トップの強い伸び。北中城村は、+5.5%→+8.9%と引き続き上昇
また、このリストに関連するいくつかのグラフを紹介します。
不動産価格「バブルに近い印象」でも「買い」はなぜ?
私は都内の不動産開発会社への平成元年入社組の一人でまさにバブルからバブルの崩壊までを体験してきました。不動産価格はもちろん株価も急上昇、金利10%越えでもサラリーマン不動産投資家一気に増えました。当時、私が勤めていた会社は、ハワイオアフ島、オーストラリアゴルフ場、そして沖縄でも開発していたプロジェクトがあり、沖縄営業所もありました。まさにバブルでした。当時のバルブ経済の背景と今の上がり続ける不動産価格の背景、状況の多くは違いますが、価格が上がり続けている感じはとても似ています。余談ですが、当時は、給与も同じく上昇していましたが、大卒新卒者の給与が30年以上前とほぼ同じという現実。格差の広がりを感じます。
建築コストが上昇する背景には、世界的な原材料・エネルギー価格の高騰や、人手不足の深刻化等があります。建物の不動産価格に一番影響する建築コストの高騰です。建築資材、設備機器などの高騰、人材不足による人件費増、特に沖縄の場合は海上輸送で建築資材を県外から運んでくるためその運送費に含まれる燃料費、人件費の高騰です。
私が移住した当時2006年は、RC造のアパート、住宅の新築坪単価が標準仕様で50万円前後、ラグジュアリー仕様で坪90万円前後。いまは、標準仕様でもRC造は確実に100万円を超え、坪単価120万円近く。ラグジュアリー仕様で坪300万円近くにもなっています。(外構、家具等は含まず)。2006年当時は、沖縄の方の住居探しは、戸建てが中心でした。マンションを購入していた多くは県外の方でしたが、今では、戸建て価格の上昇で戸建を諦めてマンションを購入する方も増えました。住宅の供給数は今後も増加していきますが、世界情勢が安定する基調も見られないので建築コストは上昇を続けるのでそれが物件価格を押し上げていくことが予測されます。
「2022年の新築マンション価格(70平米換算)の全国平均は4,212万円。沖縄県の平均は4,358万円で、47都道府県中14位。東京都(8,561万円)のほぼ半分の水準」
「九州・沖縄8県の2023年の基準地価(7月1日時点)は、沖縄県が全用途で4.9%上昇し伸び率で全国首位」
このデータから見るといまだ沖縄のマンション、土地価格も上がり続けている状況です。東京にマンションを所有している方から見ると沖縄のマンション価格はいまだ約半分。海外外国人から見ると2年前と比べて2019年の円ドル相場が1ドル108円今が160円。つまり2019年に5,000万円だった物件はドル換算で$462,962が、いまは、$312,500で、外国人からすると3,350万円にディスカウントされている状況です。外国人の都内の新築タワマンを購入も納得がいきます。
また、沖縄の新築マンション1戸当たりの平均価格が、あの福岡を超えて、九州で最も高くなっています。そもそも沖縄は、マンションや戸建てなどの「持ち家率」が全国平均(61.2%)より16.8ポイント低い。特に、30~40代における持家率は全国に比べ約20ポイントも低く、"格差"があるとさえ言われます。コロナ禍であっても県内の地価が上昇を続けている現状をみると、「地元で持ち家を持つ」というハードルがどんどん高くなっている印象です。
コロナ以降も毎年上がり続けている沖縄の不動産。新築マンションでは坪当たり360万円を超える物件もでてきています。中古物件も築10年未満のマンション、戸建ても県外の方に人気の那覇、宜野湾、北谷、豊崎、恩納村、宮古島などは新築、中古ともまだまだ価格が上昇をしているのが現実です。
但し、沖縄の土地の価格は、人口が減少している地域で下がる傾向があります。沖縄は人口減少に差し掛かりつつあるとはいえ、出生率は全国トップ。全国的にみれば、その波は緩やかでコロナ禍で上昇幅が落ちたとはいえ、依然として県内外の人に人気の那覇市、宜野湾市、豊見城市、北谷町、読谷村、沖縄市、恩納村、名護市、南城市の地価は上昇を続けています。
3-4.理由③ますますすすむ新築マンション、戸建てのステルス値上げ(シュリンクフレーション) 床面積減、共用部分の仕様ダウン
最近の新築マンションは流行の言葉で言うならば「ステルスマンション」化が進んでいます。販売価格を抑えるために、床面積を減らす、共有部分を減らす(エントランス、駐車場など)などで築10年から15年の中古マンションと比較をするとその共有エリアの充実度が落ちています。または、今まで通りの床面積とさらに充実させた共有エリアで価格は専有面積の坪当たりで360万円を超える400万円近くの億ションもできました。
沖縄県内向けマンションも戸建て同様に、総額を変えないようにしつつ、床面積をコンパクトにするなどして、4千万円台の平均価格を保っています。
高齢化社会まっしぐらの日本。特に50代以上で県外在住者には沖縄の医療体制が気になるところです。沖縄滞在中に、何か起きた時にその医療対応がどこまでできるか。これは海外不動産を所有するオーナーさんも海外から沖縄に不動産資産を移す理由の一つにもなっています。2006年当時は、沖縄滞在中に緊急で何らかの治療を受けなければならい時の病院選びは難しかったのですが、今では海外外国人向けメディカルツーリズムの受入れも可能な病院も増え、医療体制が整いつつあります。
県内の医療事情も2025年には沖縄県民の4人に1人が高齢者となることが見込まれており、高齢化の進展により医療、介護を取り巻く状況は大きく変化していきます。高齢者人口の増加に伴って、今後医療を必要とする方の増加が見込まれるため、将来に備え、必要とする医療サービスを適切に提供する体制を整備する必要があると沖縄県の沖縄地域医療構想にも発表されています。
コロナで浮き彫りとなった沖縄の人材不足も医療の現場でも深刻な課題でしたが、2025年1月、宜野湾市に移転を予定している新しい琉球大学病院新しい病院(地上14階、病床数は620床、延床面積7万㎡)は、琉球大学病院や医学部の移転を計画し、専門家が複数で対応できる体制を整えるなど、沖縄初の高度救急救命センターの設置を目指して高度医療を提供できる体制も整えられていくため、医療体制が整いつつある那覇、豊崎、宜野湾、北谷エリアでは住宅需要も増え、近隣エリアの不動産価格もすでに上昇しています。
今回の記事では、あえて北部振興の目玉の一つ「ジャングリラ」、南部新興の開発「コストコ」の話題は避けています。このプロジェクトが沖縄の不動産価格に影響を与えていることは既に近隣の土地価格が上場していることでもわかりますが、長期的視野でどうなるかは、那覇空港からのアクセス、県内住居地域からのアクセス、那覇空港の海外就航便の受け入れ態勢のインフラなどまだまだ課題が山積みな状況です。
過去沖縄では多くの県外企業のプロジェクトが立ち上がり、その多くは無くなることも多かったので、県外向けビジネスをしている県内、県外企業を除いて、沖縄県民は特に期待をしすぎず、「県民向け観光地が少ない沖縄に新しく家族で行ける場所ができてよかったね~」ぐらいの感覚です。年間来場者数220万人を超える、沖縄の来客数最大の観光施設「美ら海水族館」は、県外、海外はもちろん、県民の私たちも小さい子供たちを連れて行く憩いの場所でした。
つまり、県外の方が期待をすることと、沖縄県民が期待することにギャップが存在することも十分に理解して、不動産購入時には、ネットのデータだけではなく、地元の信頼できそうな不動産業者、建築、設計関係者だけでなく、街中の居酒屋なので「肌感」で情報を得ることをお勧めします。
<参考記事>
・総務省統計局「住宅・土地統計調査(2018年)」
・総務省統計局「住宅・土地統計調査(2024年)」
・2020年を100とした2035年と2050年の人口予測指数(国立社会保障・人口問題研究所
・「日本の地域別将来推計人口」
・沖縄県令和6年(2024)2月 入域観光客数概況(速報) -
・沖縄県文化観光スポーツ部観光政策課「宿泊施設実態調査」の結果について
・内閣府沖縄振興計画
・沖縄県「沖縄県の住宅事情」2024年1月11日
・総務省令和5年住宅・土地統計調査
・住宅数概数集計(速報集計)結果 令和6年4月30日
・令和5年地価調査動向 沖縄県公益社団法⼈ 沖縄県不動産鑑定⼠協会
・沖縄県 沖縄振興特定事業(沖縄振興特別交付金)、北部振興事業2024年
・沖縄県 駐留軍用跡地に係る有効利用ビジョンの検討基礎調査
・沖縄県 南部東道路整備事業
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