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坂本龍一と沖縄民謡

更新日時: 2023.4. 5

世界的な音楽家であった坂本龍一さん、沖縄の音楽や平和問題に対しても強い関心を示されていたことをご存知でしょうか?

3年前には終戦から75年の年に合わせて宜野湾市で開かれたチャリティーコンサートにも参加しています。

コンサートの収益金はひめゆり平和記念資料館などに寄付されており、このコンサートに参加された古謝美佐子さんはこう語ります。

「坂本さんの訃報に際し涙が溢れて止まりません。沖縄民謡一筋のこの私に最高の音楽人生を教えてくれたのは坂本さんです!世界地図で鍼の先くらいの小さな島の歌を世界に持っていってくれました!坂本さんとずーっと関わることができて・・私は幸せな沖縄民謡の唄者です。ご冥福をお祈りします。」

ここで、坂本龍一さんと沖縄民謡女性グループのコラボレーションシングルである

「弥勒世果報 (みるくゆがふ) - undercooled」という曲をご紹介します。

坂本龍一と沖縄民謡女性4人グループ「うないぐみ」とのコラボレーションチャリティシングル。オリジナルは2004年に発売された坂本龍一の楽曲「undercooled」。

この曲に旧知の音楽仲間である古謝美佐子〜うないぐみサイドから「沖縄語の歌詞をつけて唄いたい」と坂本に依頼し、歌と三線の録音がスタートしました。

オリジナル「undercooled」は9.11アメリカ同時多発テロ事件、その後に続いたイラク戦争や世界中にあふれる軋轢を憂慮し「冷やし足りない」という意味を持つタイトルに「いまの世界はまるで頭に血が上ったかのような状態。もっと冷静になろう。」とのメッセージが込められています。

沖縄の基地問題に大きな懸念を持つ坂本龍一とうないぐみが、あくまでも冷静(undercooled)に優しく、かつ強く、音楽と歌の力で平和な沖縄、平和な日本、そして戦争の無い世界の実現を希求し制作したのが本作。

タイトルの「弥勒(みるく)世果報(ゆがふ)」は沖縄古来の信仰で「弥勒神(みるくがみ)がもたらす理想的な平和で豊かな世の中」の意。

沖縄語の歌詞の内容は自然賛美〜戦争の哀れ〜弥勒(みるく)世果報(ゆがふ)への願いを歌っており、後半の間奏以降に見せる宇宙的な広がりをもった音像は、まるで地球を俯瞰しているかのようなスケールを感じさせます。

間奏ではUAとその子供たちがつぶやきで参加。人間と宇宙の物語を可愛く語りかけています。

とても美しい曲なのでぜひ聴いてみてくださいね。

https://youtu.be/OQNTcoayZ3E

作詞:佐原一哉/古謝美佐子

作曲:坂本龍一

海ぬ美(ちゅ)らさ 青い海ぬ美(ちゅ)らさ

我(わ)した島ぬ 永遠(とぅわ)ぬ宝 永遠(とぅわ)ぬ宝

空(すら)ぬ深さ 碧い空(すら)ぬ深さ

我(わ)した沖縄(うちなー) いちまでぃん いちまでぃん

花ぬ美(ちゅ)らさ 鳥(とぅい)ぬ声(くぃ)ぬ清(しゅ)らさ

美(ちゅ)ら島ぬ 想(うむ)い知らさ 想(うむ)い知らさ

人(ふぃとぅ)ぬ秀らさ 肝(ちむ)持(む)ちぬ秀らさ

肝(ちむ)心(ぐくる) 玉ぬ命 玉ぬ命

神々宿(やどぅ)る 沖縄(うちなー)ゆでむぬ

世界(しけ)ぬ世果報(ゆがふ) 守てぃ給(たぼ)り 守てぃ給(たぼ)り

波ぬ想(うむ)い 太陽(てぃだ)とぅ風(かじ)ぬ想(うむ)い

戦世(ゆ)ぬ 哀り知らさ 哀り知らさ

忘(わし)てぃ忘(わし)ららん 戦さ世(ゆ)ぬ哀り

童達(わらびんちゃー)に 語てぃ行かな 語てぃ行かな

星(ふし)ぬ光 我(わ)した地球(ふし)ぬ光

弥勒(みるく)世果報(ゆがふ) 願(ぐゎん)立てぃら 願(ぐゎん)立てぃら

印無(ね)えらん くぬ島どぅやしが

平和ぬ想(うむ)い 深さあむぬ 深さあむぬ

人(ふぃとぅ)ぬ命(ぬち)や 天(てぃん)からぬ恵(みぐ)み

永らいてぃ 命(ぬち)どぅ宝 命(ぬち)どぅ宝

地球(ふし)ぬ姿(しがた) 変わる事(くとぅ)ねさみ

変わるむぬや 人(ふぃとぅ)ぬ心 人(ふぃとぅ)ぬ心

人(ふぃとぅ)とぅ人(ふぃとぅ)ぬ 争いや捨(し)てぃてぃ

世界(しけ)ぬ平和 真に想(うむ)い 歌てぃ願(にが)ら

語てぃ願(にが)ら 歌てぃ願(にが)ら

坂本龍一さん、たくさんの美しい音楽をありがとうございました。ご冥福をお祈りします。

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