TOP » BLOG » 不動産相続をすることになったら?~手続きの仕方から売却まで~
更新日時: 2022.1.17
不動産を相続することになったら、相続前に準備することは?
両親や親族から土地、建物などの不動産を相続することになった場合、まず何から手をつけたらいいのでしょうか?また、相続が発生前に事前に準備するとしたら何をしたらいいのでしょうか?
今回は相続の基礎知識として事前に知っておいた方が良いこと、発生した場合にやらなければならないことなどのポイントをわかりやすく解説していきます。
また、相続後の不動産活用についてもご紹介します。
※今回は不動産の相続のお話が中心になります。
Point 1. 相続人の確定と遺産分割協議
相続することになった場合、まず行わなければならないのが、「相続人の確定」と「遺産分割協議」です。相続人が複数いる場合は、特にこの相続人の確定、相続財産調査、誰がどの相続財産を引き継ぐかを決める遺産分割協議をいかにスムーズに行うかが重要です。
1.相続人の確定
最初に、「相続人の確定」です。自分たちが知らなかった相続人が存在することもあります。自らまたは、司法書士に依頼して出生時からの戸籍謄本を取得したりして相続人を確定します。
2.相続財産調査
相続人が確定出来たら、次は、資産を管理していた税理士、弁護士がいればその税理士に財産の確認をします。特に依頼していた税理士、弁護士がいない場合は、被相続人名義の固定資産評価証明書を取得して、非課税のものも含めた保有物件の確認をします。
保有物件には、単独所有のもの、共同所有のものを漏れなく取得します。固定資産税評価証明書は、不動産の所在する市区町村窓口で請求ができ、窓口に行けない場合は郵送での請求も可能です。相続資産が多い場合は、複数の自治体に資産が分散していることもあるので各自治体での取得が必要です。
また、財産調査として「固定資産税台帳」=「名寄帳」(なよせちょう)を役所で取得する方法があります。この名寄帳には、その役所内にある課税不動産のすべてが載っています。但し、この名寄帳には、課税されている不動産しか記載されていません。非課税の不動産(自宅前の公衆用道路など)は記載されていないので法務局で道路の公図を取得して登記簿謄本を確認することも必要です。
※【固定資産税評価証明書】
固定資産の評価額を証明するもの。所有者の住所氏名、物件の所在、地目、面積などの表示とその評価額が記載。
【公課証明書】
算出税額等を証明するもの。評価証明に記載されている事項に加えて、課税標準額と税相当額が記載。
【固定資産税台帳「名寄帳」】
証明を目的としたものではなく、所有している資産の内容を確認するためのもので、記載内容は、納税通知書に添付されている課税明細とほぼ同じ。新年度の名寄帳の写しは無料で交付しています。
いずれの証明書、台帳も固定資産税の賦課期日の1月1日現在の事項が記載されています。
「遺産分割協議書の作成」遺言書が無い場合
遺産相続をするときに遺言書がないケースなどでは、遺産分割協議で相続人の遺産分割について話し合う必要があります。この遺産分割協議書の作成の解説はかなり細かくなるために今回はポイントのみご紹介します。
遺産分割協議とは、法定相続人全員で行う「民法とは異なる割合での相続財産の分け方を決める話し合い」のことです。この協議の結果、相続人が合意した内容を取りまとめた書類が「遺産分割協議書」になります。
これは、法定相続人全員が漏れなく合意しなくては成立しません。合意の証として「遺産分割協議書」という書類を作成して各人が「実印」で押印し、印鑑証明書を添付することになっています。
遺言書がある場合は、相続人同士で遺産を分ける話し合いをする必要はないため、どの相続人がどの財産を取得たのか遺言書を確認すればわかります。
この遺産分割協議書の作成に法律上の制限はありません。被相続人が亡くなって数年経ってから作成して、相続登記をすることも問題はありません。
但し、相続税の申告期限は、相続の発生から10ヵ月以内のため、この期間内に、相続人の確定、相続財産の調査、遺産分割の話し合い、遺産分割協議書の作成、申告をする必要があります。
この申告に間に合わないと、基礎控除以外の控除や特例は利用できなくなります。相続税の申告期限に間に合わないと、無申告加算税、延滞税を課される恐れもあります。
遺産分割協議書作成の注意点
不動産の相続登記にはこの遺産分割協議書が通常必要となります。法定相続分で不動産の相続をする場合には、基本的に不要となります。
相続トラブルにならないために スムーズに不動産相続するためには
遺産分割協議書を作成することで、相続人全員で合意したことを証明する書類となるために、後々の相続トラブルを回避することができます。この分割協議の話し合いをいかに、スムーズに進めるか。これが協議書作成の一番のポイントになります。
Point 2. 名義変更
遺産分割協議など相続の内容が確定したら、不動産の相続登記を行います。
この不動産登記名義の変更は法務局で行います。提出期限はありませんが、毎年1月1日の所有者に課税されるので相続する年の年内に名義変更の登記をすることが望ましです。
名義変更とは?
相続の不動産登記名義変更とは、戸建て、マンションなど自己使用の不動産から、アパート、マンション、駐車場、山林、畑など収益不動産から、農地まで被相続人の所有していた名義の不動産を、相続した人の名義へ変更する手続きです。
国内の不動産は、法務局ににて所在地や所有者の情報が登録されています。
※海外不動産の場合は、被相続人の最後の住所地、遺産所在地が日本である場合は、原則として本国法が適用されることになりますが、海外の所在する不動産の場合は、被相続人の本国法が適用されるとは限りません。相続財産に海外不動産がある場合は、手続きが複雑なため海外不動産の相続に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
名義変更の方法
不動産登記の名義変更は、自らでも申請手続きはできますが、司法書士に手続きを依頼することをおすすめします。
司法書士の報酬の目安が6~7万円ぐらいです。報酬のほかに、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)、その他戸籍謄本、住民票などの証明書取得費など約2,000円ほどです。
名義変更の必要性
先述の通り、名義変更に期限はありませんが、相続税の申告期限があります。
遺産分割協議がまとまったら早めに済ませるのがベストです。
名義変更しない場合のデメリット
・相続を受けた不動産の売却や担保にすることができない
・法定相続人、遺産分割協議前だと一時的に相続人全員の共有となるため、それぞれの持分を第三者に売却することができる
・相続人が被相続人になり、相続手続きが複雑になってしまう。
Point 3. 相続の不動産名義変更に必要な書類について
名義変更に必要な書類
【被相続人】
・戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍(出生から死亡までの連続したもの)
・住民票の除票(または戸籍の附表)登記簿上の住所及び本籍地の記載があるもの
【相続人】
・戸籍謄本 法定相続人全員のもの
・住民票 新しく名義人になる方のもの
【その他】
・固定資産税評価証明書 名義変更する年度のもの
・相続関係説明図 戸籍謄本などの原本を還付するのの必要
・遺産分割協議書 法定相続分以外で名義変更する場合
・印鑑証明書 法定相続人全員のもの
・不在席証明書 不在住証明書 必要書類が揃わない場合
・上申書 必要書類が揃わない場合など(印鑑証明書も添付)
Point 4 . 税金について
【相続税】
被相続人(亡くなった方)から各相続人が相続を受け主とした財産の価額の合計額が基礎控除を超える場合は、相続税の課税対象となります。つまり、「不動産を相続したら必ず相続税申告が必要になる」というわけではありません。
基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数
この額を超えた時のみ相続税の申告が必要となります。但し、不動産相続資産だけではなく、金融資産なども含めた総額が相続税の対象となります。
また、配偶者は、相続財産のうち、1億6,000万円と配偶者の法定相続分のいずれか多い金額までは相続税がかからない配偶者控除という制度があります。
【不動産取得税】
相続人である場合には、不動産を相続したことによる不動産取得税は発生しません。
【固定資産税及び都市計画税】
不動産を所有すると固定資産税及び都市計画税がかかります。毎年1月1日の時点でその不動産を所有している人に対して1年分の固定資産税及び都市計画税がかかります。
ポイント管理者責任とは?
相続発生から相続による不動産登記名義変更までは、相続人全員が、「管理者責任」を負います。これは、民法第940条第一項により相続を放棄した相続人も相続財産管理人が選任されるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならないという規定があります。
空きや、古民家など古い不動産を相続する際は、定期的に管理、メンテナンスをする必要があります。
Point 5. 相続した不動産を活用する
不動産相続の手続きが完了したら、今度はその不動産をどのように活用するのかを考える必要があります。
・自己で住居として使用する
・アパート、マンションなどを建設する
・駐車場として貸す
・民泊、賃貸物件として収益を得る
・売却して現金を得る
相続財産の活用方法は多岐にわたります。今のライフワークバランスを崩さず、先代より受け継いだ大切な資産を活かし、家族が幸せになる有効活用を考えてください。
【沖縄の相続】
沖縄での相続は複雑ですよね。全国的にも相続問題をきっかけにしてトラブルや兄弟間の不仲も起こり得る、繊細な問題。それが沖縄の相続問題の場合、位牌やお墓への風習・伝統があり、親族の意見も取り入れて検討するなど、より難しくなっています。
そのため、ちょっとした掛け違いから大きなトラブルに発展した事例も多く、「相続」を「争族」と例えることも...。それでも出来る限りは兄弟間親族間で争う事なく、お互いに納得できるものにしたいもの。
私も長い不動産売買の経験で相続に関連する遺産分割協議書を作成しないために発生した多くのトラブルを見てきました。またこの不動産分割協議書作成でもお身内同士の話し合いがスムーズに進まないなど相続に関連するご相談を多く受けてきました。
私自身も身内の相続でもっと早く知っておけばよかった。事前に対応しておけば良かったと身をもって経験をしています。
次回は、沖縄地域独特の相続のポイントについてご紹介させていただきます。
不動産の相続の事前相談、発生後のご相談、相続後の不動産活用はぜひ、当社へご相談ください。